サンショウウオの系譜(22) ポージング

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週刊・日本の天然記念物 35 オオサンショウウオ 2003年2月 製作・海洋堂 原型製作・松村しのぶ 

 動物フィギュアにはもうひとつの大切な要素があります。「ポージング」です。その動物の瞬間をとらえる事で、生き生きとした「生命感」を表現するポーズです。このフィギュアが発売された当時は、構図としての「ポーズ」はあったと思いますが、今日ほど大切な要素とは認識されていなかったのではないでしょうか。「ポージング」は、その動物の特徴にもなり得る大切な要素で、今日の動物フィギュアには欠かす事の出来ないものですが、このフィギュアは良く出来ていると思います。このフィギュアを見ると、その当時から「ポージング」を意識されていた製作者・松村しのぶ(敬略)の先見の明を知る事が出来ます。
 ただ、個人的には、差ほど奇を衒っている様ではないのですが、魚を補食する瞬間は「オオサンショウウオ・フィギュア」としては文句の付けようがなく、何故か嫉妬すら覚えます。殆んど動きを見せる事のない「オオサンショウウオ」ですが、想像も出来ない俊敏な動きで魚や昆虫を補食する動物である事が理解できるのです。

サンショウウオの系譜(21) 特別丁寧な仕上がりでもなく…

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週刊・日本の天然記念物 35 オオサンショウウオ 2003年2月 製作・海洋堂 原型製作・松村しのぶ 

 もうひとつ、フィギュアの製作に必要な要素があります。「美しい色」や「精密なフォルム」を引き立たせるための「丁寧な仕上がり」です。例えば「日本のカメ」や「日本の清流」の全般のフィギュアや古くは「長浜黒壁文化考現学」や「科博所蔵再現モデル」等の各フィギュアが印象に残っていますが、そこまでは、特別丁寧な仕上がりを見せているものでもありません。成形時の型割ラインが残っていたり、補食する魚の尾ビレに色洩れがあったり、艶に斑があったりしているのです。けれど、決して雑な仕上がりではなく、全体的にはむしろ良く仕上がっている方だと思います。

サンショウウオの系譜(20) 精巧 

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週刊・日本の天然記念物 35 オオサンショウウオ 2003年2月 製作・海洋堂 原型製作・松村しのぶ 

 技巧的にはいかがでしょうか。精密(精巧)なフィギュアで私の印象に残っているものにチョコQの日本の動物・第7弾の「オオクワガタのさなぎ」や動物奇想天外の「イチゴヤドクガエル」、昨日にも紹介した日本の清流の「アカメ」、等が印象に残っています。それらと比べるとそれほど精巧に製作されたものではないと失礼ながら思っています。けれど、咥えた魚や頭部のブツブツしたイボの様子は心憎いほどに精巧でリアルです。

サンショウウオの系譜(19) 美しい彩色ではないけれど…

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週刊・日本の天然記念物 35 オオサンショウウオ 2003年2月 製作・海洋堂 原型製作・松村しのぶ 

 このフィギュアの魅力はなんなのでしょうか。見た目が美しいフィギュアと言うものではありません。最近では、鳥羽水族館立体コレクションの「ニシキエビ」や日本水族館立体生物図録の「ピラニア・ナッテリー」、日本の渓流の「アカメ」や「ウグイ」などが印象に残っていますが、それらに比べると明らかに美しくはありません。「オオサンショウウオ」自体が黒っぽく地味な体色の動物ですので、彩色で魅力を発揮させるには少々無理がある様に思われます。けれど、口の中や目付けを見ていると丁寧に色の選択がされ、塗られている事は理解できるのではないでしょうか。

サンショウウオの系譜(18) 日本の天然記念物

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週刊・日本の天然記念物 35 オオサンショウウオ 2003年2月 製作・海洋堂 原型製作・松村しのぶ

 この系譜(5)で「存在感」を最も感じさせてくれるフィギュアがあるとお話しさせて頂きました。このフィギュアがそれです。「週刊・日本の天然記念物」の付録としてついていた「オオサンショウウオ」です。2003年2月に発刊されたものです。このフィギュアは発売当初から知っていたのですが、この実物(写真のもの)を手に入れたのはごく最近の事です。それ以前から様々な場面で好評価を得ていた様に思います。「惑わされないぞ」と言う思いが強くあったのですが、実物を見て瞬時にその魅力に取り憑かれてしまった事も事実です。

サンショウウオの系譜(17) 半透明の胴体

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チョコエッグ 第7弾 おもしろ動物偏 シークレット アホロートル(ウーパールーパー) 2003年2月 監修・解説・畑正憲

 正面から見ると愛嬌のある動物です。このフィギュアの彩色は白色なのですが、艶を抑えて、むしろ艶消しを多くして半透明の胴体を意図して仕上げられている様に思われます。体色とその透明感にこだわりを持って造られていて、個人的には好感が持てます。ただ、透明感を残すと全体に暗く感じられます。実に難しい塗装だと考えさせられます。
 アホロートルの稚魚を見ると魚の稚魚に前足が生えている様で、魚に近い動物である事が理解できます。事実、背中にはエラの後方から尻尾まで延びたヒレがあるのが明解に解ります。胴体とヒレははっきりと区別できるのです。けれど、このフィギュアにはその境界が見当たらず、胴体とヒレが曖昧に表現されているのが気になります。見え難い部分ですが、口も表現されていないことに気付きます。

サンショウウオの系譜(16) リューシスティック

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チョコエッグ 第7弾 おもしろ動物偏 シークレット アホロートル(ウーパールーパー) 2003年2月 監修・解説・畑正憲

 このフィギュアをみていきましょう。このフィギュアは、観賞用として突然変異や交配により、飼育・繁殖されたもので、黒目をしているのでリューシスティック(白化個体)だそうです。一般的には「ホワイト黒目」とよばれている様です。ほかにも勿論、アルビノ、マーブル、ゴールデン、ブラックなどが突然変異や交配によって生まれています。原種のウーパールーパーはメキシコ・ソチミル湖とその周辺で生息し、現在はワシントン条約で保護されているメキシコの固有種です。
 白くブヨブヨした印象があり、太ったサンショウウオのイメージが私にはあるのですが、如何でしょうか…。
 

 

サンショウウオの系譜(15) アホロートル

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チョコエッグ 第7弾 おもしろ動物偏 シークレット アホロートル(ウーパールーパー) 2003年2月 監修・解説・畑正憲

 これはフルタ製菓(敬略)のチョクエッグ第7弾・おもしろ動物編の「アホロートル(シークレットアイテム)」です。2003年2月の発売です。この「アホロートル」が終盤で紹介する京都水族館の「オオサンショウウオ卵と幼生」のものと良く似ていたのです…。
 チョコエッグのこの解説書には「アホロートル(ウーパールーパー)」とあります。「アホロートル」と「ウーパールーパー」ともに良く聞く名称ですが、これは同じ動物の名称なのでしょうか。少し気になります。
 ウィキペディアによると「両生網有尾目トラフサンショウウオ科のトラフサンショウウオ属のメキシコサラマンダー(メキシコサンショウウオ)の流通名がウーパールーパーで、そのトラフサンショウウオ科の動物の幼形成熟個体(幼体の体型のままで成体になる個体)を称してアホロートルと言う。」とあります。
  

サンショウウオの系譜(14) 人間の観念

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チョコQ 日本の動物 第6弾 カスミサンショウウオ 2002年9月 製作・海洋堂 原型製作・松村しのぶ 

 特徴でないものもミニチュア動物フィギュアになると、その動物の特徴となる事があるとお話しました。その方が、フィギュアとしては自然に感じられる場合があるからです。なぜ、そうなるのでしょうか。少し前に小型のサンショウウオは良く似ているとお話しました。その一方で、違う種類である以上は見た目も違うと言う人間の漠然とした観念があるのではないでしょうか。故に異なる箇所を見つけるとその観念が満たされ安心する様に思います。「安心する」と「自然に思う」とは少し違いますが、不安な状態を自然に思う事はない様に思います。その逆に、同じ形をしているものは同じ種類とも思っているのかも知れません。形と色に表現を限定されている動物フィギュアにとっては、その様な漠然とした観念は大きな障害ともなりますが、逆に好都合の場合もある様に思います。この事は未整理な部分が非常に多くあります。今後の私の課題と考えています。

サンショウウオの系譜(13) 表現する事

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チョコQ 日本の動物 第6弾 カスミサンショウウオ 2002年9月 製作・海洋堂 原型製作・松村しのぶ 

 この「カスミサンショウウオ」の特徴として尻尾の上部とに下部に写真の様に黄色い帯が表れる事ですが、個体によってはないものもあるそうです。その事から言うと、この「黄色い帯」は「カスミサンショウウオ」の特徴とはなりませんが、種別化が必要なミニチュア動物フィギュアにとっては大変に大きな特質ですので必然となって来ます。表現する事で、特徴ではない部分が特徴になったり、特徴であった部分が表現されてなかったりするのがミニチュア動物フィギュアなのだと考えています。 

サンショウウオの系譜(12) 散らし塗装

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チョコQ 日本の動物 第6弾 カスミサンショウウオ 2002年9月 製作・海洋堂 原型製作・松村しのぶ 

 このフィギュアの彩色は、背面が茶色でお腹が濃い目のグレーに黒の「散らし塗装」で仕上げられています。「散らし塗装」とは塗装ガンの空気圧を極端に絞る事で吹き出る塗料の細かい粒を大きくして軽く吹き付ける(吹き付けると言うよりは上から霧状の塗料を被せる感じ)方法ですが、こうする事で写真の様な細かい斑模様を造る事が出来ます。この方法は大変に有効な塗装手段で、動物フィギュアだけでなく、主に建築模型にはよく使われる方法です。住宅の外壁やレンガ、アスファルトやコンクリートの塗装表現には無くてはならない方法になっています。

サンショウウオの系譜(11) 日本のサンショウウオ

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チョコQ 日本の動物 第6弾 カスミサンショウウオ 2002年9月 製作・海洋堂 原型製作・松村しのぶ 

 個人的な思いですが、形状的には、小型のサンショウウオはどれも良く似ていると思います。イメージ的には殆んど変わらないと言っても過言ではないでしょう。「カスミサンショウウオ」と「オオダイガハラサンショウウオ」との違いは「尻尾の形状」ぐらいでしかないのです。学術的には他にも幾つかありますが、ミニチュア・フィギュアとして表現するには、この大きさ(体長78mm×横幅31mm)では限界があります。この大きさで製作するには、小型のサンショウウオはどれも非常に良く似て来ると思います。幸いにも「尻尾」と「体色」に違いがあり、その違いを的確にとらえる事が出来ます。事実、このふたつのフィギュアでその違いが理解できます。その他の多くの「日本のサンショウウオ・フィギュア」を製作するとなれば、その違いを何処に見出すのか、どの様に表現するのかが大きな課題となりますが、大変に興味のある事柄です。「日本のサンショウウオ」をテーマに製作したフィギュアがあればどんなに素晴らしい事でしょうか…。

サンショウウオの系譜(10) カスミサンショウウオ

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チョコQ 日本の動物 第6弾 カスミサンショウウオ 2002年9月 製作・海洋堂 原型製作・松村しのぶ

 このフィギュアは、チョコQの第6弾の中にある「カスミサンショウウオ」です。2002年9月の発売とあります。チョコエッグの「オオダイガハラサンショウウオ」から丁度2年が経ちます。このフィギュアは、昨日の「オオダイガハラサンショウウオ」と違って、凹んでいる所や側面にも艶があり、体の全体にクリヤーが丁寧に散布されています。「水にぬれた皮膚」を意識的に表現されたのではないでしょうか。あるいはその意図が、製作スタッフのひとりひとりに徹底された結果なのでしょうか。「チョコエッグ」から「チョクQ」への変貌の一端が、この様な部分にも見る事が出来るのではないでしょうか。

サンショウウオの系譜(9) チョクエッグのオオダイガハラ

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チョコエッグ・日本の動物 第4弾 オオダイガハラサンショウウオ 2000年9月 製作・海洋堂 原型製作・松村しのぶ

 このフィギュアの背面は黒で彩色され、お腹はグレーで仕上げられています。成体に比べるとやや頭が大きい様に思われますが、若いサンショウウオなのでしょう。写真では解り難いのですが、体の全体に艶があります。けれど、その艶には若干のむらがあり、凹んでいる所や側面には艶がありません。水に濡れた皮膚を意識させる艶と考えると物足りなさを覚えます。鰭状の尾は表現されていませんが、このサイズでは難しい事と理解できます。けれど、全体的にはまとまりのあるフィギュアだと思います。
 

サンショウウオの系譜(8) 濡れた皮膚

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チョコエッグ・日本の動物 第4弾 オオダイガハラサンショウウオ 2000年9月 製作・海洋堂 原型製作・松村しのぶ

 ネットでも多くはありませんが写真や動画を見る事が出来ます。体色は、グレーの個体もある様で、生息地によっても若干の違いがある様に思います。それと水との関わりの多い「サンショウウオ」の特徴としては水に濡れた皮膚の表現が必要なのかも知れません。水中に居る場合には余り意識はされないのですが、陸に上がっている場合には逆に意識してしまうのかも知れません。皮膚呼吸の割合の多い動物フィギュアに取っては、その表現は不可欠なものになるのかも知れません。

サンショウウオの系譜(7) オオダイガハラサンショウウオ

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チョコエッグ・日本の動物 第4弾 オオダイガハラサンショウウオ 2000年9月 製作・海洋堂 原型製作・松村しのぶ

 「乾燥に弱く、動きも遅い動物で、他の地方の個体との交種がおこりにくい。そのため地方ごとに独自の種類が分布している」とあります。正に雨が多く、山と清流の多い日本の地形はサンショウウオにとっての絶好の生育環境なのかも知れません。上流域、下流域とその棲み分けもなされている様です。そう考えると、誠に日本的な動物(日本を代表する動物)に見えて来るから不思議なものです。
 この「オオダイガハラサンショウウオ」は、日本では「オオサンショウウオ」の次に大きく、体長14cm~20cm、尾は長く側偏し鰭状となるとあります。背面の色彩は黒一色。お腹はそれに比べるとやや明るい様です。体側面に入る皺(肋条)は左右に13本ずつとあります。

サンショウウオの系譜(6) 日本に多いサンショウウオ

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チョコエッグ・日本の動物 第4弾 オオダイガハラサンショウウオ 2000年9月 製作・海洋堂 原型製作・松村しのぶ

 このフィギュアは「チョコエッグ」の「日本の動物・第4弾」の「オオダイガハラサンショウウオ」です。解説書を引用しますと「雨が多く清流の多い日本には小型サンショウウオの種類が多く、ほとんど全てが日本固有種。(以下省略)」とあります。オオサンショウウオだけではなく、日本には多くのサンショウウオが棲んでいます。そこでウィキペディアで調べると実に多くの「サンショウウオ」の名称を見つける事が出来ました。「アベサンショウウオ」「イシヅチ(石鎚)サンショウウオ」「エゾ(蝦夷)」「キタ」「オオイタ(大分)」「オキ(隠岐)」「カスミ(後日紹介します。)」「ハコネ(箱根・後日紹介します。)」「クロ(黒)」「ツシマ(対馬)」「「トウキョウ(東京)」「トウホク(東北)」「ハクバ(白馬)」「ヒダ(飛騨)」「ブチ」「ベッコウ(鼈甲)」「ホクリク(北陸)」などです。明記されていたのが「オオサンショウウオ」をいれると18種類にもなります。

サトンショウウオの系譜(5) 「アユ」から「サンショウウオ」へ

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チョコエッグ 日本の動物 005 オオサンショウウオ(後期) 1999年9月 製作・海洋堂 原型製作・松村しのぶ
 
 「アユの系譜」から「サンショウウオの系譜」へと移行したのには理由があります。確かに「京都水族館フィギュアコレクション」の登場に触発されたのは事実ですが、「アユの系譜」の終盤で「存在感」と言うテーマを持ち出しました。 私の個人的な考えですが、それはミニチュア動物フィギュアにとって最も大切な事柄(表現のテーマ)と言っても過言ではないと思っています。その「存在感」を最も感じさせてくれる秀作が、「オオサンショウウオ・フィギュア」の中にあるからです。残念ながらこの「チョコエッグ・オオサンショウウオ」ではありませんが、後日登場しますので期待していて下さい。恐らく、動物フィギュアファンでしたら想像できるフィギュアだと思います。勿体ぶっているのも変かもしれませんが、それ位に、私にとってはさまざまな部分で衝撃的なフィギュアでもありました。 

サンショウウオの系譜(4) 小さな目

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チョコエッグ 日本の動物 005 オオサンショウウオ(後期) 1999年9月 製作・海洋堂 原型製作・松村しのぶ

 この写真が後期に製作された「小さい目のオオサンショウウオ」です。その違いがお解りでしょうか。後に幾つかの「オオサンショウウオ・フィギュア」が登場しますが、その目は、一見では何処にあるかが解らない程に小さな事から、生産途中でありながらも修正が加えられたのでしょう。若干ですが艶があったり、体色が明るくなっていますが、これは製品の個体差の範疇で、目以外には修正箇所はないと思われます。

サンショウウオの系譜(3) 大きな目

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チョコエッグ 日本の動物 第1弾 005 オオサンショウウオ(前期) 1999年9月 製作・海洋堂 原型製作・松村しのぶ

 紹介が遅れてしまいました。系譜(1)から紹介している写真は、チョコエッグの「日本の動物・第1弾」の「オオサンショウウオ」です。1999年9月の発売です。実に愛らしい「サンショウウオ・フィギュア」です。つぶらな瞳をしているとお思いになりませんでしょうか…。実は、チョコエッグのこの「オオサンショウウオ・フィギュア」は「大きな目」と「小さな目」の2種類のフィギュアがあります。写真のものは「大きな目のオオサンショウウオ・フィギュア」です。コレククターでは「大きな目」が前期に製作されたもので、それが修正されて「小さな目」になったものを後期のフィギュアとして認知されています。明日はその第1弾の後期に製作された「小さな目のオオサンショウウオ」を紹介しましょう。